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淡雪

第19章 危険なガーディアン

考えたいこと、考えなきゃいけないことは沢山ある。
...だけど敢えて考えないことにした。
考えたって何が変わる訳じゃない。

俺は璃子を抱きたかったし、璃子もそれに応えた
それだけだ。

頭をかきむしるように髪を洗い
何かを擦り落とすように体を洗った。

背徳?!
悪いがそんな感情持ち合わせちゃいない。

俺は大きく息を吐き
頭を振ってバスルームを出た。

目の前にはローブを着た璃子が立っている。

無言で俺の横をすり抜ける。


ーー勢いとはいえ...

  後悔しているのか?!


背中にシャワーの音が悲しく響いた。
まるで俺とのことを洗い流したい
そんな風に聞こえた。


「はぁ...」


大きくため息をつく。

わかっていたはずだ。
璃子との関係に幸せなどないこと。

ーー俺はいつからこんなセンチな男になった

自嘲してリビングへもどる。

あの体を知ってしまった今
後戻りするるとも、手放すことも考えられない。

どうせ幸せとは縁遠い仕事だ。

ーーそれならどこまでも堕ちていくのも
  悪くない。


俺は階下の雑踏を見下ろしながら
ペリエを飲み干した。





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