無料で楽しめるちょっと大人のケータイ小説

俺はウェイターを呼びビールを注文した。

先程渡された名刺をマネージャーに見せる。

「だれ？」

マネージャーが名刺を見つめている。

「ハリウッドのキャスティングディレクターらしい」

「え?!　ええ？！」

マネージャーは俺の顔と名刺を交互に見る。

「どんな依頼？」

「詳しい内容はわからないけど
　映画のオーディション受けないかって」

俺は運ばれてきたビールに手を伸ばす。

「オーディション?!」

マネージャーは唖然

「ああ。
　ちゃんと事務所に通すって言ってたから
　そのうち連絡あると思うよ」

そう答えてビールを一口飲んだ。

「そうなんだ...」

マネージャーは未だ呆然と名刺を見ている。

俺は空気を変えるように

「で、俺はそのライオンズまでoffでいいの？」

何気なくいう。

マネージャーは慌てて俺を見る。

「あ、映画の授賞式は？」

「多分　ないな...」

俺は小さく呟いた。


「で？　off でいいの？
　だったら2週間は時間があるな。
　俺、ハリウッドに行ってみたい。
　その名刺の棚橋さんに連絡して手配してよ」

マネージャーは慌てて俺を見る。

「え?!　は？　ハリウッド?
　急に何言い出すの？」

慌てたマネージャーが答える。

「時間もあるし、ハリウッドがどんなところか見てみたい
　用もないのに日本に帰ってまた来るのはカッタルイ」

マネージャーは頷きながら

「まあ、いい機会かもな。
　チーフには俺から話すよ。
　それから棚橋さんの方も連絡してみる」

「頼んだ」

俺はビールを飲み干すと璃子の手を掴んだ。