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淡雪

第20章 スターの代償

俺がホテルに向かって歩いていると

「Hi! タムラ 偶然ね」

声をかけてきたのはシャロンだった。


「これからDioのパーティーなの一緒にどう?」


「Dio?」

なんでファッションブランドが?


「女性の美の短編映画を作ったそうよ」


「ふーん...」


「よかったらエスコートしてくれない?」


シャロンが俺の腕をつかむ。


「俺招待されてないし、タキシードでもない」


「大丈夫よ。だってタムラが着ているの
 Dioのスーツでしょ?」

こんな場所に来ているから一応何があっても困らないようにパリで調達したDioのスーツは着ていた。

「まあな」


「それに、あなたのメイキャッパーも来てるわよ」


ーー璃子が?!

  アイツ、また俺には報告なしかよ


なんかまたイラついてきた。


「フフン...」

シャロンは面白そうに俺の顔を見ると

俺の腕を勝手に自分の腰に巻き付けた。


「行くわよ」


「俺、行くっていってねぇし」


「あらそう?

 気になるって顔に書いてあるわよ」


シャロンは可笑しそうに笑っている。


「タムラ わかりやすいわね」


「うるせーよ」


だいたい俺はアイドルなんだ。
モデルのお前と並んだら悲しいくらい小さく見えるだろ!

そんな俺の気も知らずシャロンは歩き出す。


「リコに見せつけちゃう?」


そんなことまで言いやがって!


「じゃあ キスさせろよ。

 そしたらエスコートしてやる」


俺は強気に出た。

ハイヒールをはいて頭ひとつ違う女とキスなんてしたことない。
正直やり方がわからない。

けど 
シャロンを挑発した。


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