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淡雪

第20章 スターの代償

シャロンは俺に顔を近づける。

重なる唇。

だけど俺はなにもしてやらない。

ただ重なるだけの唇に違和感を覚えたシャロンは唇を離そうとする。

俺はシャロンの唇をベロリと舐めて
後頭部を押さえつけた。

「うっ 」

一瞬怯んだシャロンの唇から舌を割り込ませる。
顔が小さいだけに少し口の中も狭いが舌は厚い。

シャロンの舌の側面をなぞるように擦る。
尖った舌先を小刻みに刺激する。
まるでクリトリスを愛撫するときのように...

「フッ ン... 」

シャロンのその気になり始めた吐息
口端から零れそうになる唾液を
ズズッっと音をたてて吸う。

これからパーティーだ。
トップモデルがだらしなく涎の跡など見せられないだろう。

力の抜けたシャロンの腰を抱き
舌を絡めとり口内を蹂躙する。

強引に痛みのない程度に
シャロンの舌を吸引する。

シャロンの吐息がフゥッと俺の頬にかかり
膝の力が抜けた。

舌の拘束を解いて唇をひと舐めてしてから
シャロンの瞳を見つめた。

トロリとした瞳。
まだ物欲しげに少し開けたままの唇。

「リョウ...」

シャロンは俺を呼んだ。

「もっと欲しいか?」

「ええ」

「あとで気が向いたらな」

俺はシャロンの唇を軽く指でなぞった。

シャロンの舌が俺の指に巻き付く。

「そろそろ行くか。

 どうやら日本のマスコミにバレちまったみたいだ」

俺の目の前でシャッターを切るカメラが見える。

こんな目立つ通りでやってりゃ
そりゃバレるのも撮られるのも当たり前。

スーパーモデルが相手ならちょうどいい。

「化粧を直しに行くか?

 それともこのままお互い乱れた紅い口紅を着けたまま行くか?」

シャロンは少し正気を取り戻して

「妬かせたいんでしょ?

 それに私も本気であなたが欲しくなった」

俺はその言葉には答えずにシャロンの腰を抱いて
そのまま会場へ入っていった。




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