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淡雪

第20章 スターの代償

俺たちが会場に足を踏み入れると
一瞬怪訝な目で見つめられる。

そんな視線は無視して会場の奥へと進む。

Dioの社長に腰を抱かれて談笑する璃子が見えた。


ーーアイツ...


「リョウ
 ムキにならないで。璃子も仕事。
 ただのビジネスよ」

俺の表情を見ていたシャロンが可笑しそうに囁く。

「仕事?」

「ええ。 
 Riko のプロモーションよ」

「売り出すのか?」

「そうみたい。
 今日の私のメイクも璃子がやったのよ」


なるほど...

どうりでソソられる


奥の二人に近づこうとしたとき


「タムラじゃなぁーい!」


目の前に現れたのはデザイナー。

見た目スッゴい渋い男なのに
この表現にものすごいギャップ。
ゲイであることは明らかだがそれにしても...


「シャロン、よく連れてきてくれたわ」

シャロンに機嫌よく微笑む。

そして俺たちの顔を見比べ

「エロいわよ。
 
 シャロン、璃子に言って化粧を直してきなさい」

そう言ってシャロンを追い払うと俺の唇についた紅を拭いペロリと舐めた。


「タムラってホントセクシーね。
 日本人には珍しい」


と意味ありげな視線で俺の胸板を撫でる。


俺はストレートだ。


デザイナーの手を取りその指を舐めた。

笑いもせず挑発的に見つめ


「悪いが俺が追いかけてるのはお前じゃない」


デザイナーの瞳が揺れたのが分かった。


「来年のコレクションに参加しない?」


デザイナーを蔑んだ目で見る。


「俺はモデルじゃない。

 そんな誘いであんたのぺニスを舐めたりしないよ」


フッと笑った男は


「言うわね」


そう言って俺の頬を撫でて消えた。






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