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淡雪

第20章 スターの代償

グループはずいぶん前から関係がギクシャクしていた。
子供の頃のグループ編成。
10代では3才年が違えばかなり違う。
小学生のアイツらと高校生のオレたち。
上手くいくわけがない。
俺達は必死でグループを形付けようとしていた。が、アイツらにそれが上手く伝わらない。
相手が小学生ということで、押し付けや命令口調になっていたかもしれない。

年月が過ぎてもその関係性は変わらず、大人になったアイツらを認めたふりをしていても本心は子供扱いだったのかもしれない。

それに、事務所との軋轢...。
グループと事務所の方向性の溝はもう修復できないところまで来ている...。

いまは何とか止めている状態。

そう、俺たちはどんなに売れても国民的アイドルグループと言われてもそれはJ事務所にいるからであって、個人では仕事なんか来ない。

俺たちは売れすぎた。
それによってさらに大きくなったJ事務所を敵にまわしてまで俺たち個人に仕事を出してくれることは少ないだろう。

そう思うと飛び出す勇気も...ない。

どうすればいい?

俺に出来ることは?

もう少し時間がほしい。


解散や独立はあまり謂い方法とは思えないが、もしそうなってしまっても自分の力で仕事をとる準備をしなければ。


ーーそのための...璃子


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