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淡雪

第22章 淡雪

毎日病院へ通う。

ベッドの上の璃子さんは、拘束され薬で眠っている。

身体中に残る暴れたあと

触れるのが怖くて
僕は見つめることしか出来ない。

医師が言っていた
「新しい生命が璃子さんの感情を揺さぶり
 その波動に体が異常反応をおこす」


俺はただ何もできずに見つめているだけ...

ただ彼女のそばに座っていることしか出来ない。


璃子さんの手が動く。
何かを探すように。

俺は戸惑いながらその手を握った。

弱々しく握り返す手

璃子さん?


「...さかい くん ごめんね」

小さな声。

俺は立ち上がって璃子さんの顔を覗きこんだ。

細く開かれた目。
意識はある。

「ごめん ね」

「璃子さん?」

「私が 望ん だ の」

「え?」

「こど も」

「え?」

驚きで言葉がでない。
聞いてない...

「反 対 する から
 いえな かっ た」

「なんで...」

「欲し かった か ら」

「だって...
 璃子さんがいなくなったら意味ないだろ!」

俺は泣きながら璃子さんに訴えた。

「だい すきな 坂井くんの 子供 ほしかった」

俺は目を見開いた。
大好き?
俺を?


そこまで言うと璃子さんは疲れたのか
また眠ってしまった。



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