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淡雪

第4章 俳優 田辺准一

それからの俺はまるで一皮むけたように

着実に俳優として監督の期待に応えられるようになった。

ベッドシーンもこなすし殴りあいのシーンも自らこなした。

事務所からアイドルなんで...というNGシーンも無視してドラマの完成度をあげることだけに専念した。


気がつけばクランクアップを迎えていた。


最後のシーン


雅子が親父とも別れ実家に帰るという国内線の出発ロビー


『見送りなんていらなかったのに』

雅子とならんで椅子に座る

『私のこと軽蔑したでしょ』

黙って雅子の手を握る

『亮太くん?』

『もし何年か経って雅子さんがまだ一人で、僕もまだ雅子さんを忘れられずにいたら

 迎えにいってもいいかな?』

うつむく雅子

『できない約束なんてしちゃダメ』

雅子の顔を両手で包み

『本気の恋愛が出来るようになったら

 俺に向き合ってよ』

『りょうたく...ん...』

雅子の唇に優しいキスを落とす。


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