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淡雪

第4章 俳優 田辺准一

「カーッッッッートォーー!」


「オールクランクアップです!!

 お疲れさまでした」


僕と松下さんは立ち上がる


「面白い現場だったわ。

 ありがとう」

松下さんが手をさしのべてきた。

松下さんと握手を交わし

「成長させてもらいました」

と答えた。


「いやね、あなたをここまでにしたのは

 私じゃないわ。

 もちろん、お互い利用する価値はある

 どう、噂だけじゃなく付き合ってみる?」

意味深な目配せをする。


「え?!」


「気が向いたら連絡して」


僕の手に握らされたのは松下さんの連絡先


「松下さん...」

「お疲れさん!!」


大きな花束とともに監督が歩み寄ってきた。


松下さんにそれ以上聞くことができない。


「いやぁ、田辺くん大した俳優になったね。

 俺の代表作になりそうだよ。

 ありがとう」

といって花束を渡された。


拍手の渦の中スタッフさんにお礼の言葉をいって全員に挨拶に回った。

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