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淡雪

第4章 俳優 田辺准一

みんなと立ち話をしている間に随分と時間がたってしまった。


槙さんは荷物を両手に抱え挨拶をしてこの場を去ろうとしていた。


僕は槙さんのところへ走った。


「槙さん待って!」


槙さんが荷物ごと振り向く


「准一くん お疲れさまでした」


「槙さん荷物持つよ」


僕は槙さんの左手の鞄を持とうとした。


「大丈夫。これが私の商売道具

 いつもひとりで運んでるんだから」


「少しだけでいいから話がしたいんだ」


「ここはスタジオじゃないから目立っちゃうでしょ」


そう言うと槙さんが僕の顔をまじまじと見つめた。


「お疲れさまでした。

 本当に素敵な俳優さんになってきたね

 この先が楽しみ。

 またご一緒できることを楽しみにしています。

 ありがとう」


槙さんは荷物を置いて僕に手を差し出した。

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