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淡雪

第5章 槇 璃子

「で、誰のシーンなんですか?」

ちょっとイラついた声を出す。


上目使いで私を見つめた坂井くんは

「ね、槇さん。まだまだかかりそうなんだ。

 監督なにが気に入らないのか全くOK出さないんだよ。

 ちょっとデートしようよ」


はぁ?!


「わかりました。自分で見に行きます」


立ち上がりわざと坂井くんにかかるようにお尻についた芝生を払う。


「そんなことしたって可愛いなって思うだけだよ」


「...」


もう、なんなの コイツ!


坂井くんを無視して歩き出す。


「あ、監督が槇さんのこと探してたよ」


「はあ?! 

 なんで先に言わないんですか!!」


私は走り出した。


私の背中で彼の笑う声


ムカツク!


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