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淡雪

第6章 坂井 賢夢

俺は重症だ...


渡部さんに抱き抱えられた槇さんを見た瞬間

自分も反対側のドアを開け乗り込んでいた。


渡部さんとマネージャーさんが驚いて顔を見合わせている。


「一緒に行かせてください」


「......」


渡部さんは無言だった。


「なんにもせずに待っているなんて出来ません」


渡部さんはチラッと槇さんの顔を覗きこむ


「まったく槇ちゃんも罪なことをする。

 ここにも槇ちゃんに心を奪われた男がいるぞ」


と大袈裟にため息をついた。


僕は恥ずかしくて顔を伏せた。


「まあ、仕方ない。

 でもこの事は絶対に誰にも言うな。

 病院も明かしてはいけない


 守れるか?」


僕は渡部さんを見つめ強く頷いた。


「じゃあ、行こうか」


マネージャーさんは静かに車を出した。


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