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しばらく走ると大きな大学病院が見えてきた。


...槇さんそんなに重病なのか



「あ、先程お電話した田中です。

　もうすぐつきますがどちらにいけば？

　...はい　　はい　...わかりました」


マネージャーさんは病院に電話していた。


広い大学病院に入り大きな建物を抜けてしばらく走ると三階建ての古びた研究棟と書かれた建物が見えてきた。


入り口には医師と見られる白衣を着た男性と看護師が二人ストレッチャーを用意して待っている。


「あそこか？」


渡部さんが聞く。
声に戸惑いが含まれている。

...渡部さんも何も知らないんだ


「そのようです」


車を入り口につけると僕は急いで降りて渡部さんに抱き抱えられた槇さんを受け取った。

抱き上げると見た目よりずっと華奢で軽い...


本当にいなくなってしまいそうだ...


「こちらに乗せてください」


看護師さんがストレッチャーを差す。


このまま抱いていたい欲望を抑えてストレッチャーに彼女を下ろした。


「ありがとうございました

　お預かりします」


医師はそう言うと建物の中に消えて行こうとする。