淡雪
第6章 坂井 賢夢
僕は病室を出て車にもどりエンジンをかけた。
あてどなく走り、気づけば実家の近くの河原に出ていた。
路肩に車をとめ土手を歩く。
初夏の爽やかな風が吹き、野球少年たちの声とバットに当たる爽快な金属音を遠くに聞く。
そういえば、俺も野球少年だった。高校時代は甲子園に三度出場した高校球児だった...
埃にまみれ全力で走る少年たちをぼんやり見ていた。
俺が甲子園に三度も出場できたのはきっと...
あの時...
部活が終わり友達とこの土手を歩いていた。
土手のしたから聞こえた叫び声。
薄暗い土手下を見ると近くのお嬢様学校といわれていた女子校生がガラの悪い男子校の男達に囲まれている。
とりあえず警察に通報して
俺と友達は急いで土手をかけ降り、男達に掴みかかった。
「逃げろ!」
俺は女子高生を掴んでいた男を投げ飛ばし
彼女に声をかけた。
頷いた彼女は走り出した。
男たちは5~6人はいただろうか。
こっちは二人。
野球で鍛えているとはいえ多勢に無勢。
段々劣性になってくる。
ーー早くお巡りこいよ!!
殴りあいの途中で一人の男がいった
『コイツ一高の坂井じゃねえ?』
男たちの腕が一瞬止まり俺の顔を見る。
『ほんとだ。おれコイツのせいで彼女に振られたんだよな』
俺は男たちを睨み返す
『しらねぇーよ。
こんな最低なことしてるから逃げられんだろ』
男がニジリ寄る
『おもしれぇ。お前ら押さえてろ』
俺はあっという間に押さえつけられ地面に転がされた。
あてどなく走り、気づけば実家の近くの河原に出ていた。
路肩に車をとめ土手を歩く。
初夏の爽やかな風が吹き、野球少年たちの声とバットに当たる爽快な金属音を遠くに聞く。
そういえば、俺も野球少年だった。高校時代は甲子園に三度出場した高校球児だった...
埃にまみれ全力で走る少年たちをぼんやり見ていた。
俺が甲子園に三度も出場できたのはきっと...
あの時...
部活が終わり友達とこの土手を歩いていた。
土手のしたから聞こえた叫び声。
薄暗い土手下を見ると近くのお嬢様学校といわれていた女子校生がガラの悪い男子校の男達に囲まれている。
とりあえず警察に通報して
俺と友達は急いで土手をかけ降り、男達に掴みかかった。
「逃げろ!」
俺は女子高生を掴んでいた男を投げ飛ばし
彼女に声をかけた。
頷いた彼女は走り出した。
男たちは5~6人はいただろうか。
こっちは二人。
野球で鍛えているとはいえ多勢に無勢。
段々劣性になってくる。
ーー早くお巡りこいよ!!
殴りあいの途中で一人の男がいった
『コイツ一高の坂井じゃねえ?』
男たちの腕が一瞬止まり俺の顔を見る。
『ほんとだ。おれコイツのせいで彼女に振られたんだよな』
俺は男たちを睨み返す
『しらねぇーよ。
こんな最低なことしてるから逃げられんだろ』
男がニジリ寄る
『おもしれぇ。お前ら押さえてろ』
俺はあっという間に押さえつけられ地面に転がされた。