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淡雪

第6章 坂井 賢夢

俺は痛みで気が遠くなり始めた。

『ごめんなさい 私のせいで...』

女子高生は俺の出血する肘を押さえて泣き出した。

『君のせいじゃないよ。

 なんともない?』

『はい。ありがとうございます』

女子高生は泣きながら必死で俺の腕を押さえていた。
彼女の指の間から俺の血が流れている。
彼女の涙が俺の傷口に落ちる。
その涙は不思議と温かかった。


『よかった...』

俺はそのまま気を失った。


もう、俺の野球人生は終わった...

甲子園も...無理だろうな

普通の生活は出来るのだろうか...


そんなことを思っていた...


しばらくすると俺は痛みから解放された。

自分の腕はなくなってしまったのだろうか...


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