テキストサイズ

淡雪

第6章 坂井 賢夢

『あの、星蘭の子は?』


『被害者か...それが、われわれが駆けつけたときは君たちが倒れていてだけで被害者はいなかったんだよ。

 まあ、こういう事件だから話を聞かれたくなかったのかも知れないな。

 でも事情を聞かなきゃならんから探してみるがね。

 被害者の特徴を教えてくれないか?』


俺は彼女を思い出そうとした。

ところが薄暗かったうえに、四高の奴らと殴りあっていたので彼女の顔などまったく覚えていない。

なにか特徴のあるもの...

分からなかった。


『すいません。暗くて顔はほとんど見えませんでしたし、すぐに気を失ってしまったので彼女に繋がるものは何も覚えていないんです』


『そうかぁ...』


『逆に俺が聞きたいくらいです。

 お礼を言わなければ...』


俺は宙を見つめなから一生懸命思い出そうとしたが、何も覚えていなかった。


ストーリーメニュー

TOPTOPへ