姫恋
第2章 ☆出会い
「そうこなきゃ。マスター、俺にグラスちょうだい」
「ハルさん…彼女かなり飲んでるので、あまり無茶は…」
「大丈夫。俺に任せて」
隣でブツブツ話しながら
その男は自分とアタシのグラスにワインを注ぐ。
「妃芽さん、ハルさんはお酒強いんすよ。無理しないでくださいッ」
「大丈夫、大丈夫」
「大丈夫じゃないっすよ…。それにハルさんはシラフから始まりっすよ?最初から勝負にならない…」
「マスター。俺を信じて見守って」
男がマスターを黙らせたところで
ワイン勝負の幕が上がった。
男のスタートの合図と同時に
アタシはグラス内のワインを一気に飲み干し、次のワインをグラスに注いだ。
だけどそこで
急に手がストップ。
その反応は無意識だった。
…なぜ?
どういう事か
体がお酒を受け付けない。