姫恋
第2章 ☆出会い
「もう限界?」
「うるさい…」
嘲笑うかのような男の言い方に腹が立つ。
なのにまったく飲む気になれない。
「やめときな」
そう言いながら
持っていたグラスを取り上げられた。
抵抗する気力もない。
「妃芽さん…大丈夫っすか?」
マスターが心配してくれているが
返事が出来ない。
言葉が出てこない。
ヤバイ…気がする。
今ようやく気付いた。
飲みすぎたと…。
「マスター、お会計」
「え、でもハルさん一口も飲んでないじゃないですか」
「俺はいいよ。彼女の飲みっぷりで満足したし。それに俺、今日は車だから酒飲めないからさ」
そう言った男は
諭吉様を数枚カウンターに置いた。
「こんなに多すぎですよ?」
「気にしないで。お釣りはあげるよ」
「え、でもッ」
「この娘、家まで送ってくよ」
マスターと男の会話が
何がなんだかよくわからないまま
アタシは一気に睡魔にヤられてしまった。