齧りかけの林檎
第6章 ● 君の名前 ♂side
「あの時はほんとに恥ずかしかったんだよ!
でもゆりさんの警戒が解けたのなら
あれでよかったのかもー」
本当にあれがあったから
今、一緒に居られるのかと思うと、
あんなに恥ずかしい思いをして
よかったのかもしれない。
「本当にコントみだいだったよー!
顔上げたらイケメンなんだもん。
やばい、これはこの世から
消されるかもしれないって思った」
「え!?おれのことなんだと思ってるの!?
いやでも、記憶の消去はさせるかも?」
やだーこわーい、なんて言いながら楽しそうに笑っている。
おれとの会話でそんなに笑ってくれるなら、これからもずっと笑わせてあげたい。