齧りかけの林檎
第1章 ● 真っ赤な君 ♀side
ずっと待ってるって、君・・・
お姉さんにも予定が・・・
ってないけどね!
彼氏いないんだもん。
毎週、木・金の仕事帰りの
どちらかはこの図書館に来ている。
「あ、ちょっと待ってよ!
少年っ!」
さすが若いだけあってか
明日来てくれと言い残し、
さーっと走って行ってしまった。
っていうか走るなって言ったのに。
また転ぶよ。
男子高校生は今日が図書館の臨時休館を知ってか知らずか、
わたしの手に温もりと
明日待っているという言葉を残して
本も返さず帰っていってしまった。
勉強をしにきただけなのかもしれないけれど。