齧りかけの林檎
第1章 ● 真っ赤な君 ♀side
ずっと待たれているというのは
かなりのプレッシャーである。
さっきはなぜか
人見知りのわたしから、男子高校生に話しかけることができた。
その後も結構話せた気がする、わたし基準だけれど。
でも待たれているところに自分が向かうのは、
今からでも結構緊張するものだ。
正直、行きたくない・・・。
さっと借りて
気づかれないうちに
さっと帰って、
家で好きな音楽をかけながら
読書にふけりたい。
でもずっと待たせているというのは
さすがにできない。
今日は定時に上がってきたから、
17:20頃には図書館に着いた。
明日も17時すぎには
あの男子高校生が来るというのなら、
金曜日の閉館19時までは待たせてしまうことになる。
さすがにいかん。
いたいけな高校生を
そんな時間まで待たせておくわけにはいかない、と腹を括った。