齧りかけの林檎
第12章 ● 君とお鍋 ♂side
絶対この人酔ってる・・・。
おれは持っていたお皿を置いて立ち上がると、
キッチンに向かい
グラスにお水を入れると
彼女の元に戻り、
「ゆりさん酔ってるでしょ?
ほら、お水」
そう言ってコップを渡そうとした。
「ありがとうー」
と言うけど、ずっと笑ったままのゆりさん。
「ほら、あーん」
おれは彼女の口を指でこじ開けると、
少しずつ水を飲ませた。
高校のダチでお酒を飲んでしまい、
調子に乗ってたまに飲み過ぎてしまうやつがいる。
そういうときにやっているから、
慣れたものだった。