齧りかけの林檎
第15章 ● 君の気持ち ♂side
おれはずっと彼女のことを
見てきたけれど、
彼女はおれに出会って
まだ数日しか経っていない。
そんなおれに、
過去のことを話してなんて言われて
話してくれると思うか?
家に帰って風呂に入っても、
ベッドに入っても、
彼女のことばかり、
あの行動の意味、
あの言葉の意味を
考えてしまっていた。
翌朝、スマホのアラームで
目が覚めたおれだけど
あまり眠れていなかった気がする。
夢にまで、彼女が出てきて。
あんな悲しい声、
聞きたくない、
おれにだったら、
あんな顔は、させない。