齧りかけの林檎
第15章 ● 君の気持ち ♂side
「洗い物しちゃってもいい?」
「手伝おうか?」
「んーん、大丈夫。
テレビでも見てて。」
おれはテンションが上がっていたから
彼女の傍に居たかったけれど、
邪魔になるかもしれないから
一度リビングに戻った。
リビングから
じーっと彼女の後姿を見つめる。
おれは彼氏いないって聞いて嬉しかったけれど、
彼女にとっては
嫌な思い出を掘り起こしてしまったのではないだろうか。
少し暗く感じる、彼女の背中。
おれは居ても立ってもいられず、
キッチンに向かうと
食器を洗う彼女の腰に
腕を回した。