齧りかけの林檎
第15章 ● 君の気持ち ♂side
小さい声で
ありがとうと言う彼女がかわいくて、
ずっとこのままで居られたら、って思ってたら
「と、とりあえず、
離して、もらえない、かな・・・?」
なんて言ってきた。
「・・・やだ」
何言ってるの?
おれが離すわけないじゃん。
やっとおれの腕の中に抱けたのに。
おれのこと嫌なの?
少しも、男として見られてない?
「おれのこと、
高校生としてじゃなくて、
男として見てくれるなら
いいよ」
それなら、今からでもいい、
おれのこと意識して。
おれのことが頭から離れられなくなるくらい、
おれで頭をいっぱいにして。