齧りかけの林檎
第15章 ● 君の気持ち ♂side
おれだったら
今までの男なんかより、
もっと幸せにできる。
いっぱい笑顔にしてあげられるよ。
だから、今までのことなんて
忘れてしまえばいい。
「ゆりさんの過去に
なにかあったのかなって、
昨日気付いちゃって・・・」
あれは過去のトラウマからだよね?
あんなに悲しそうなゆりさん。
もう見てられないよ。
「え?」
覚えていないの?
そんなに無意識に、
元彼のことを今も追いかけているの?
あれは、おれだから
抱きついて、甘えたんじゃ、ないの?
「覚えてないの?
おれに抱きついたこと、とか?」