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齧りかけの林檎

第15章 ● 君の気持ち ♂side




返事はなく、少しだけ

首を振る彼女。






「置いていかないでって

 言ったこと、とかは?」




おれに涙を見せたこと、

覚えていないの?






「ごめん、覚えて、ない」




「やっぱり・・・」




あれは、

無意識だったんだ。




もういない男の影を

今も追いかけているの?




おれが居るっていうのに?








本当に、なにも、

覚えていないの?








「じゃあ、キス、したこととかは?」




「えぇ!?」




おれにキスなんて

されたくなかった?




あなたは気付いていないはず。


眠っているあなたの頬に、

キスをしただけだから。



だから、





「ごめん、





・・・嘘」



唇には、キスしていないよ。






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