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齧りかけの林檎

第2章 ● 真っ赤な君 ♂side




優しくしてくれることも、

話しかけてくれることさえも信じられず、

彼女の目をずっと見続けていた。

















「冷たいよね、

 おうちに帰ったら

 すぐにお風呂にでも入って

 温まるんだよ」


















彼女はさっき出したタオルで

おれのズボンを拭いていて、

そのとき初めて

自分の制服がビチョビチョになっていることを知った。


















優しく、トントンと濡れたところを拭いてくれている。





今すぐにでも抱きしめたいと思ってしまった。








この腕で抱きしめて

誰にも渡したくない。








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