齧りかけの林檎
第1章 ● 真っ赤な君 ♀side
「大丈夫!?もしかして走ってた?
バナナがあるのかと思うくらい
見事な転び方だったよー!
ケガしてない?立てる?」
こんな失礼なことを言ってしまった。
しかも爆笑しながらだ。
さすがに年下であろうが、
初対面の男の子に向かってこれはないだろう。
それもあろうことか、
手まで差し伸べてしまった。
恥ずかしいのか、起き上がらない男の子の前でわたしは
この子が起き上がる前に手を引っ込めようか、
このままでいたらいいのかと考えあぐねていると
「イッテー・・・」
目の前の男の子が起き上がろうとしたのか、顔をこちらに向けた。