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齧りかけの林檎

第5章 ● 君の名前 ♀side



顔をあげると、

彼は急に大人っぽい表情になって







「あははは、

 そんなに走って来なくてもよかったのに。

 来てくれて、本当にありがとう」









わたしの汗を拭きながら、こんなことを言ってくれた。








ありがとうと言いたいのはこっちのほうだ。




まさかそんなことを言われるなんて思ってもいなかった。




高校生にそんなことを言わせてしまったことが恥ずかしくて

汗でべったりと額についていた前髪を必死に下ろして、顔を隠そうとした。








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