テキストサイズ

祠の鬼

第2章 結論

「鬼伝……?」

「鬼に纏わる事が書いてある書だよ。でも、変だなあ」

「何が?」

「リクエストされた覚えないから、当然仕入れた覚えもないんだよね」



有十はそう言って床上に散らばった本を片づけ始める。



奇妙な事を言われ響は考え込むように押し黙る。このタイミングで、この本が見つかったのだとすれば――



「関わらないわけにもいかない、か……」



響は重たいため息を吐き、丁度片づけ終わった有十に言った。



「この本貰っていいか?」

「……いいけど。兄さん、鬼なんて興味あるの?」

「……まあ」

「珍しいよね。兄さん、空想上の生き物嫌いなのに」

「別に嫌いじゃない、ただ好んで読まないだけだ。ありがとな有十」

「ううん。他ならない兄さんの頼みだし、これが他人なら即答だよ」



有十の言葉に苦笑いしつつ、響は本を受け取る。



今更だが、鬼に関する知識は鬼が空想上の生き物って事だけで何も知らない。だから、少しでも鬼を知るにはこの機会にいい事なのかもしれない。



無論、生きていく上で役に立つとも思わないが。



ストーリーメニュー

TOPTOPへ