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祠の鬼

第1章 鬼の噂

「響……何やってんの?」

「見ればわかるだろ。古書店の仕事」

「いや、わかんないよ普通。教室でこんな事してんの、絶対日本中でお前だけだよ」



そう言ってため息をついたのが、古景尋暁(コカゲヒロアキ)。人付き合いが苦手で、響でさえも尋暁が誰かといるのを見た事がない。



「そうか?」

「絶対そう」



きっぱりと言い切られてしまえば、それ以上何も言えず響が黙ったまま作業を進めれば、尋暁がぽつりとまた何かを呟く。



「……響、来客」

「来客?」



響が出入り口の方に目をやれば、確かに女子が立っている。



「でも、どうして俺の来客だって?」

「何となく」



すると、ものの見事数分後教室の後ろにいた男子の声が響く。



「おい永津間、女子がお呼びだぜ!お前って意外とモテるよな」



響がちらっともう一度出入り口を見れば、女子は軽く頭を下げた。どうやら森泉は、これを告白と思っているらしい。



相場と言えば相場だが、今一釈然としないまま席を立ち響は廊下へ向かった。



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