祠の鬼
第1章 鬼の噂
廊下に出ると、今風の女子が笑みを浮かべる。どことなく漂う不穏な空気を感じたものの、響は口には出さず相手が本題を切り出すのを待つ。
「突然呼び出してごめんね。私、南田沙夜。永津間くんは、祠の噂知ってる?」
祠、と聞いて響はこの学園に通うものならほぼ知っている鬼が封じられている祠を思い出す。
こんな噂を持ち出す時点で、もう後は嫌な予感しかしない。
「知ってるけど……」
「だよね。祠の噂、一緒に確かめに行かない?永津間くんに来て欲しいの」
「初対面の俺によくそんな話ができるな?大体、どうして俺なのか説明してくれ」
「雨野くんが教えてくれたの。雨野くんの他にもうひとり一緒に行ってくれる男子を探してて、それで永津間くんを誘いに来たんだけど」
「……雨野?」
「うちのクラスのイケモテ男子よ。上級生下級生問わず、人気なんだから」
「そんな奴が何でまた……」
「で、どうするの?」
「どうするも何も、その雨野って奴に会ってからだ」
「じゃあ、一緒に図書室来て。そこにいるから」
何でこんな事になったのか。
そんな事を今更思っても仕方ないが、思わずにはいられなかった。
そんな事を思いつつ、森泉にしつこく聞かれるであろう質問責めをどう真逃れるか考えながら、沙夜の後をついていった。
「突然呼び出してごめんね。私、南田沙夜。永津間くんは、祠の噂知ってる?」
祠、と聞いて響はこの学園に通うものならほぼ知っている鬼が封じられている祠を思い出す。
こんな噂を持ち出す時点で、もう後は嫌な予感しかしない。
「知ってるけど……」
「だよね。祠の噂、一緒に確かめに行かない?永津間くんに来て欲しいの」
「初対面の俺によくそんな話ができるな?大体、どうして俺なのか説明してくれ」
「雨野くんが教えてくれたの。雨野くんの他にもうひとり一緒に行ってくれる男子を探してて、それで永津間くんを誘いに来たんだけど」
「……雨野?」
「うちのクラスのイケモテ男子よ。上級生下級生問わず、人気なんだから」
「そんな奴が何でまた……」
「で、どうするの?」
「どうするも何も、その雨野って奴に会ってからだ」
「じゃあ、一緒に図書室来て。そこにいるから」
何でこんな事になったのか。
そんな事を今更思っても仕方ないが、思わずにはいられなかった。
そんな事を思いつつ、森泉にしつこく聞かれるであろう質問責めをどう真逃れるか考えながら、沙夜の後をついていった。