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祠の鬼

第1章 鬼の噂

図書室があるのは四階。



四階にあるのは読書スペースと本のスペースだけで、本があるスペースだけは二部屋あり、主に使用されているのはそのうちのひとつ。



沙夜が勢いよく扉を開けて中に入る。



「永津間くん連れてきたよ!雨野くんっ」



カウンターで読書をしていた深理が顔を上げ目が合う。



――なんだ……?



響は無意識に何かを感じ黙っていると、深理が口を開く。



「ああ、お前が古書店の永津間か」

「……」



黙り込んでいると、沙夜が不思議そうに首を傾げる。



「どうして黙ってるの?」

「いや……」



気のせいかもしれない。響はそう自分に言い聞かせ、まっすぐ深理を見据えた。



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