祠の鬼
第7章 空白を埋めるもの
「待たせてごめん!」
本屋に駆け込んで来た響を見た瞬間、安堵からか涙がポロポロと零れ落ちる。
「もう……遅いよ」
思わずありさは響の胸にしがみつく。
「ありさ……?何か、あったのか?」
「……よくわからないの。あんなひと、見た事ない……でも」
「でも?」
「……あれは、鬼楓学園の制服だった」
「……!」
響が思わず言葉を失う。
一体これが何を意味するのかわからないが、ひとつ言えるのは。
自分たちは何か知らない大きな運命に、巻き込まれている。
これは、ほんの一抹(イチマツ)ではないか、と。