テキストサイズ

祠の鬼

第7章 空白を埋めるもの

学園に向かう道中奇妙な沈黙が流れていた。



ありさは響に言ってない事がある。



あの、少年は自分の事を、“オヒメサマ”と呼んだ。



もし名前を呼ばれたとしても微妙な話だが、どうして自分をああ呼んだのか、気になってしょうがない。



“鬼の花嫁”



ありさの中でそれらは何一つ結びつかず、考えるのを止めた。



「……ありさ因果について考えてたんだけど」

「うん……?」

「因果の意味の一つに、原因と結果。つまり、こうなった原因があって、その結果がこれだ」

「……わたしたちに何か原因があって、その結果(コタエ)がこれなの……?」

「じゃなきゃ説明つかないだろ、今までの事」

「……鬼」

「ありさ?」



響が訝しげにありさを見る。そして、響をしっかりと見つめこう言った。






「鬼は確かに存在する……何も視えない、視ようとしないのは愚者のする事だ、鬼は……いつでも傍にいる、って。そのひとはそういったの」






ストーリーメニュー

TOPTOPへ