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祠の鬼

第7章 空白を埋めるもの

鳥居を潜り抜け無言のまま歩く。



不気味なまでの静けさと、どこか異様な気配がする森の中。



歩く事数分、ようやく森の奥にたどり着いた。



もう何時間も歩いたような感覚だ。



見た目からもわかる、小さな古い祠。



祠自体は普通だが、異常なほどに貼りつけられた無数のおふだ。



ありさは無意識に両手を握りしめる――何故かわからないが、心がしきりに訴える。






ここにいてはならないと。






ありさが響にそれを伝えようとした時、背後で小枝を踏んだ音がした。

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