アイドル様の、ホントのお顔
第2章 ~はじまり~
『夏休みの間、俺と一緒に過ごすこと。』
つまり、夏休みの間、RENと同居する。 ということだ。
「おい、早く来い。」
「…………」
リビングからRENの声が聞こえ、おとなしくそれに従う。
「遅い。」
「……すみません。」
写真さえなければ…こんな奴の言うことを聞く必要ないのに。
「座れ。」
「…………」
指定されたのは、RENの隣。
別に隣じゃなくてもいいだろ。
そう思いながら、ソファに腰かけた。
「…俺のことは蓮って呼べ。 本名の方で。 それと、敬語は使うな。」
なんでわざわざ本名? 別にどっちでも一緒だろ。
「いいな?」
「……あぁ。」
そう思っても、口答えはできない。
頷くことしか、俺には選択肢がない。
「それと…家事はお前がやれ。」
「…わかった。」
別に…家事は嫌いじゃないから構わない。
「じゃ、早速晩飯用意しろ。」
「…………」
キッチンに向かい、冷蔵庫を開ける。
………何にも入ってないんですけど。
「………」
一体何を作れと?
冗談抜きで、なにも入ってない。
…っていうか、コンビニ弁当とかでもいいのか?
「!」
冷蔵庫から視線をそらすと、ゴミ箱が目に入った。
「………」
コンビニの弁当、デリバリーのピザ、ファーストフードのゴミ…
全部、最近のものだ。
「おい、どこ行くんだ?」
「…買い物。 すぐ戻るから。」
たしか、その辺にスーパーがあった気がする。
あいつにそう言って、俺は家を出た。
「……」
早く戻らないと、あいつ怒るよな…
小走りで、あいつの家に向かう途中で見かけたスーパーに向かう。