アイドル様の、ホントのお顔
第2章 ~はじまり~
「…っていうか、俺…あいつの好物知らない。」
スーパーに着き、食品を見ながらそう呟いた。
…聞いてくればよかった。
そう後悔していると、後ろにいた女子高生の話が耳に入ってきた。
「今月のRENの特集見た~?」
「見た見た!! ハンバーグが好物だなんて初耳!!」
ハンバーグ…ね。
「「作ってあげた~い!!」」
「………」
夢は見てる方が幸せだな。
あいつの素を思い出しながら、そう思った。
「え…っと…」
ハンバーグならひき肉と玉ねぎと…
「………」
あいつ、牛乳アレルギーじゃないよな?
…ま、聞けばいいか。
「ありがとうございましたー。」
急いで帰らないと。 絶対嫌味言われる。
「遅い。」
「ぅわっ!!」
ドアを開けたら、あいつが玄関に立っていたので驚いた。
「遅いって…まだ二十分しか経ってな…」
「うるさい。 口答えするな。」
こいつ…なんでこんなに俺様なんだ?
「さっさと飯作れ。」
「…………」
あいつを押し退け、キッチンに立つ。
「…ッ…」
くそ…なんであんな奴のために…
「早くしろよ。 俺は腹減ってんだぞ。」
「っ…わかったよ。」
米を研ぎ、野菜を切り、スープを温める。
「…できた。」
「やっとか。」
やっとって…一時間かかってないんだから、早い方だっての。
「…はい。」
ハンバーグを出されたあいつは、少し驚いたようだった。
「俺の好物、知ってたのか?」
「……たまたまだろ。」
サラダ、スープ、ご飯を並べ、部屋に戻ろうとすると、あいつに腕を掴まれた。
「なに?」
「どこ行くんだよ。」
「…? 部屋だけど。」
なにか問題でもあんのかよ。