
アイドル様の、ホントのお顔
第2章 ~はじまり~
「お前、飯食わないの?」
「いや、別に…」
なんで…そんな寂しそうな顔すんだよ。
まるで、捨てられた子犬みたいな…
「一緒に食えよ。」
「………あぁ。」
なんなんだよ。 そんな顔されたら、断れないだろ。
「………」
一応用意してあった自分の分のご飯をよそい、あいつの向かい側に座る。
「いただきます。」
「……いただきます。」
ハンバーグを切ったあいつは、驚きの声を上げた。
「すげー。 中からチーズが出てきた。」
「……………」
さっきまであんなに不機嫌だったのに、今は子どもみたいに目を輝かせている。
「ん、うまい。」
テレビでは見たことのない蓮の素顔。
「ありがとな、遼馬。」
「っ…」
あいつが浮かべた無邪気な笑顔に、一瞬「ドキッ」としたのは内緒だ。
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「遼馬、ちょっと来い。」
「? はいはい。」
夕飯を食べ終え、風呂から上がると、あいつが俺を呼ぶ声が聞こえた。
次はなんなんだよ…
「はぁ…」
ため息をつきながらリビングの扉を開く。
「ゲームしようぜ。」
「…は?」
そう言ってあいつが始めたのは、ゾンビが出てくる某ホラーゲーム。
「いいから、早く座れ。」
「ぁ…うん。」
なんで俺を呼んだんだ? これ、一人プレイだろ。
「お前、これやったことあるか?」
「あるけど…」
っていうか、俺はこのシリーズをマスターしている。
