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アイドル様の、ホントのお顔

第2章 ~はじまり~

「ぁ…」

そういえば…以前、綾が…

『REN様ってね、おにぎり嫌いなんだって。 他人が素手でベタベタ触ったものだから、食べられないらしいよ。』

「…………」

あ~…忘れてた。 やってしまった…

「…ごめん、おにぎり嫌いだったよな? 売店でなんか買ってく…」

「いや…食う。」

「え?」

出て行こうとする俺の手を掴み、あいつはおにぎりを口に含んだ。

「ん。 意外とうまいな。」

「「………………」」

あいつがおにぎりを食べたことに相当驚いたが、俺以上に西さんが驚いている。

おにぎり…嫌いだよな? なんで食ってんの?

「あ、あの…別に無理して食わなくても…」

「本番まで時間ねぇんだよ。」

だからって…あのわがままで自分勝手なこいつが…?

「ごちそーさま。」

相当お腹が空いてたとか…?

「じゃ、行くか。」

そんなことを考えている間に、あいつはおにぎりを食べ終え、西さんと一緒に楽屋を出て行く。

「…なにしてんだよ。 さっさと来い。」

「は?」

じっとして動かない俺を見て、あいつはわざわざ振り返ってそう言ってきた。

「収録終わるまで、ここにいるつもりか?」

「え…いや…」

収録してる間に帰ろうと思ってたんだけど…

「こんな所で待ってても暇だろうし、収録観に来いよ。」

「…………」

これは…俺に気を遣ってくれてるのか…?

「ほら、早くしろ。」

「あ、あぁ…」

正直言って面倒だけど、こんな機会滅多にないだろうし、見学させてもらおう。


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