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アイドル様の、ホントのお顔

第3章 ~REN~

「よし。 じゃあ、そこに二人並んで立ってね~。」

「はぁ!!?」

俺も写真撮られるってことか!?

「そんな話聞いてな…」

「言ってないからな。 いい記念になるだろ。」

いい記念って…

撮ってもらった写真を見る度に、この日のことを思い出せと?

嫌なんですけど。

「じゃ、お願いします。」

「はいはーい。 カッコよく撮ってあげるから安心してね。」

「ちょ…」

俺の反論なんて、この二人は聞く気がないようだ。

無理矢理腕を引かれ、先ほどまであいつが写真を撮られていた場所まで引っ張られた。

「リラックスしてね~。」

「……………」

いや、そう言われてもですね…

どうすればこの状況から脱することができるのだろうか。

「なに不満そうな顔してんだよ。」

「…当たり前だろ。 大体、どうしてこんなことに…」

「今朝撮った写真をあの人に見せたら、お前のこと撮ってみたいって話になった。」

………は?

今朝撮った写真?

「もしかして…上半身裸の…」

「あぁ。 あれはよく撮れてたな。」

あんな写真を見せたのか!?

こいつ、やっぱりアホだろ!?

「うーん…いまいちだねぇ。 そんなに緊張しなくて大丈夫だよ~。」

「……………」

そんなこと言われても、好きで撮られてるわけじゃないし…

こんな本格的なところで撮ったことなんてないし。

「……倉田さん、ちょっと水もらってもいいですか?」

「これ?」

あいつがカメラマンさんに要求したのは、水。

「おい、遼馬。」

「?」

カメラマンさんが水を取りに行っている間、あいつは俺の名前を呼んだかと思うと、着ているワイシャツに手をかけてきた。

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