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アイドル様の、ホントのお顔

第3章 ~REN~

「ちょ、なにす…」

「前開けろ。」

「は?」

あいつはそう言って、ワイシャツのボタンをすべて外してきた。

「はい。 REN君。」

「ありがとうございます。」

カメラマンさんが差し出したペットボトルと受け取ったあいつ。

当然、それを飲むのだろうと思っていた。

「!!?」

「「!!」」

が、あいつはそれを口に含むことはなく、俺の頭にぶっ掛けてきた。

「おまっ…なにすんだよ!!」

「いいから、じっとしてろ。」

抵抗しようとした手を簡単に掴んで、俺の動きを封じたあいつ。

結局、ペットボトルの水をすべてかけられてしまった。

「すみません、もう一本もらえますか?」

「へ? あぁ…ちょっと待ってね。」

あいつに言われて、慌ててもう一本水を取りに行くカメラマンさん。

「はい。」

「ありがとうございます。」

あいつはそれを受け取ると、俺に渡してきた。

「今から俺の言う通りに飲め。」

「?」

首を傾げている俺とは裏腹に、カメラマンさんはあいつの意図がわかった様子。

真剣な表情をして、カメラを構えた。

「体はこっち向けて、顔は壁の方に。 少し上を向く感じで。 少しだけ目を細めて、そのまま水飲んでみろ。」

本当だったら、こんなことやらされるのは嫌なのだが…

周りとあいつの視線が真剣なものだったので、何も言えずに指示通りに体を動かした。

「そうだ。 いい感じだな。
視線だけこっち向けてみろ。」

「………」

俺…一体なにをしているのだろうか。

モデルでもないのに、こんなことやらされて…

「どうですか?」

「うーん…」

ほら。 やっぱり、素人がこんなことやったって無駄…

「すごくいいね~!!」

「…………」

………は?

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