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アイドル様の、ホントのお顔

第3章 ~REN~

「ものすごい色っぽいよ~。」

「でしょ。」

得意げに笑うあいつ。

どんな風に撮れてるか見せてもらったわけじゃないからわからないけど、カメラマンさんの表情を見るに、満足のいく写真が撮れたようだ。

「じゃ、今度は二人で撮ってみようか。」

…やっぱり、二人で撮るのは決定事項ですか。

「遼馬。 それ貸せ。」

「…これ?」

あいつが示したのは俺の持っている水。

「…はい。」

要求された通り、水を渡す。

あいつは水を受け取ると、自分の頭にかけた。

「じゃ、お願いします。」

さすが大人気アイドル。 濡れるとさらに色っぽい。

水も滴るいい男…ってか。

「……俺、どんな格好してればいいんだ?」

「朝と同じポーズとってみろ。」

「朝?」

写真撮られた時のか…?

「頭に手添えて…少し髪をかき上げる感じで。 そう。 そのままカメラ見ろ。」

「………」

「おおー!! すごくいいね~!!」

あっち行ったりこっち行ったりしながら、何枚も写真を撮るカメラマンさん。

「それじゃあ、そのまま壁の方向いて…そうそう!! 視線はこっちね~!!」

「………」

少しポーズを変えてまた何枚か写真を撮った後、撮った写真を確認したカメラマンさんは満足そうに頷いた。

「うん!! バッチリだよ!!」

そりゃよかった。

つーか…

「っくしゅ!!」

寒い。

冷房の効いているスタジオは、濡れたままいるのはキツい。

「おい。」

「!!」

あいつに呼ばれて振り返ると、頭目掛けて何か投げられた。

「なに…」

「拭いとけ。 風邪引くぞ。」

「…………」

投げられたのはタオル。

「……ありがとう。」

意外に優しいとこあんじゃん。

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