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アイドル様の、ホントのお顔

第3章 ~REN~

「さっきの部屋戻って着替えてろ。」

「……あぁ。」

スタッフさんからの変な注目を浴びながら、衣装部屋に戻り、自分の服に着替える。

「はぁ…」

ほんと、なにやってんだろ。

ほんの三日前までただの一般人だったのに。

あのRENと写真を撮るようになるとは。

「おい、遼馬。」

「?」

ちょうど着替え終わった時、あいつが衣装部屋に入ってきた。

「これ。」

あいつが渡してきたのは、先程撮ったばかりの写真。

「倉田さんが現像してくれた。」

「……ありがとう。」

内心、いらないと思ったが…

そんなこと言ったら失礼だろうと思い、とりあえずお礼を言っておくことにした。

「ちゃんと髪乾かせよ。 結構冷房効いてるからな。」

「あぁ…」

自分だって濡れてるくせに…

「……おい。」

「ん?」

衣装部屋を出て行こうとしたあいつを引き留める。

「…お前こそ、ちゃんと拭けよ。 仕事忙しいんだし、トップアイドルが風邪引いたら大変だろ。」

「…………」

その辺にあったタオルを取ってあいつに手渡すと、あいつは固まってしまった。

「…………ほら。」

なかなか受け取らないので、あいつの頭にタオルをかけてやる。

「…俺のことなんて気にしないでいいから。 もっと自分の体を気遣えよ。」

凡人の俺なんかより、こいつの体の方が大切だ。
大人気アイドルが風邪を引いて番組を休んだりしたら、一体何万人のファンの女の子が泣くことか。

「お前さ…」

「?」

ふと、俺の手を掴んできたあいつ。

「俺のこと好きになっただろ?」

「………………は?」

あいつは俺の手にキスを落としながら、そう言って得意げに笑った。

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