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アイドル様の、ホントのお顔

第3章 ~REN~

「…そうか。」

「お前さ、綾に告白しないわけ?」

以前、綾に隆のことをどう思っているか聞いたが、そんなに悪い印象はないと言っていた。

むしろ、自分のタイプだと。

「はは。 どーするかなー。」

「結構脈ありだと思うけどな。」

家に隆が遊びに来ると、綾は何かと理由をつけて俺の部屋にやって来る。

お茶を運んで来たり、俺に聞いても分からないからと勉強を聞きに来たり。

普段なら、そんなこと絶対にしない。

というか、隆以外の友人が遊びに来た時に、そんなことをしたことがない。

「お前はいいわけ?」

「なにが?」

綾に告白するかしないかの話に、なんで俺を気遣う言葉が出てくんだよ。

「友達が妹の彼氏になっても。」

「全然問題ない。 それに、隆になら安心して綾を任せられるし。」

見ず知らずの変な男に持って行かれるより、一番の親友と付き合ってくれる方が、俺的には安心できる。

「俺のこと信頼してくれてるわけね。」

「まあな。 中学からの付き合いだし。」

それに、隆はその頃から綾を想ってくれてるし。

「今度デートでもしてみて、いけそうなら告白してみろよ。」

「ん~…」

なんなら、俺がセッティングしてもいい。

「そうするか。」

「万が一振られても、慰めてやるよ。」

…とまあ、こんな話をしている間に駅に着いた。

「あれ? お前、なんでそっち方向なんだ?」

「あ、えっと…ちょっと用事があるから。」

家とは反対方向の電車に乗ろうとする俺を見て、首を傾げた隆。

「そうなのか。 じゃ、また来週の補習でな。」

「あぁ。」

ホームで隆と別れ、あいつのマンションへ向かう。

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