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アイドル様の、ホントのお顔

第3章 ~REN~

「ちゃんと嫌いなものは言っておけよ。 じゃないと、適当に作るから。 作った後に、『嫌いなものが入ってる。』とか言われても困るし。」

「……わかった。」

で、夕食を食べ終わった後…

あいつは、自分の嫌いなものをメモに書いて俺に渡してきた。

「ほらよ。」

「………ん。」

受け取って、内容をさらっと読む。

「………多くね?」

「…うるせぇ。」

いや…予想してたよりも全然多いんだけど…

「ま、いいや。 朝飯用意しないといけない時は、早めに言えよ。 じゃないと、今日みたいに、お前の嫌いなおにぎりとかになるからな。」

「…朝飯は、おにぎりでいい。」

「は?」

おにぎりでいいって…でも、おにぎり嫌いなんじゃ…

「でも、食べれないって…」

「俺がそれでいいって言ってんだから、いいんだよ。」

俺はその方が楽だけど…嫌いなものを無理矢理食べさせてる感じがして、なんか…

「…わかった。」

あんまり気分がよくないな。

「じゃ、俺風呂入ってくるから。」

「あぁ。」

あいつが風呂に入るためにリビングを出ていくと、少し肩の力が抜けた。

「はぁ~…」

わずかばかりの休息の時間。

昨日はあんなんだったし、今日はいろいろ連れ回されたし…

「疲れた…」

今日撮られた写真、変なことに使われないといいんだけど…

「………無理か。」

あいつが、あの写真を使わないわけがない。

また、脅しの道具にされるのだろうか。

「………」

いつまで、こんな生活が続くんだ?

あいつが俺に飽きるまでか?

「ふぅ…」

「!!」

そんなに長い間考えこんでいたのか?

あいつが風呂から上がってきた。

「おい、お前も入ってこい。」

「…あぁ。」

とにかく、一人になりたい。

そう思って、あいつと入れ替わるようにリビングを出た。

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