アイドル様の、ホントのお顔
第3章 ~REN~
「…………」
「うーん…」
で、逃げることもできず、この前と同じスタジオに来てるわけだが…
「遼馬くーん。 もしかして、ご機嫌斜めなのか…な…?」
「…………」
少し戸惑い気味のカメラマンさん。
っていうか、いつ俺の名前を知ったんだよ。
俺、名乗ってないけど。
「す、少し休憩しようか。」
「……………すみません…」
気まずい雰囲気の中、スタジオの隅っこの方に移動し、座り込んだ。
「……はぁ……」
俺…なにやってるんだろう。
この間まで、ただの受験生で…
彼女がいたわけでもないし、勉強も大変だったけど、親しい友人がいて、わがままだけど優しい妹もいて…
充実した毎日を送っていたのに、壊されてしまった。
「おい。」
「………」
すべて、こいつに。
「…おい。」
「っ……なんだよ。」
ほっといてくれよ。 今は、お前の顔なんて見たくない。
「さっさと撮影に戻れ。 周りに迷惑かけるな。」
「……ッ…」
好きでこんなことしてるんじゃない。
元はと言えば、お前のせいだろ。
「はぁ……なにをそんなに怒ってるんだよ。」
は…?
そんなこともわかんないのかよ。
「…おい!!」
「っ……触んなよ!!」
誰のせいでこんなことになったと思ってるんだよ。
「俺に近づくな!!」
「お前っ…!!」
「へ~…随分と嫌われてるんだな。」
「「!!!」」
この声…