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アイドル様の、ホントのお顔

第3章 ~REN~

「………誰?」

「あ、えっと…その…」

「俺がナンパしてきちゃった。」

は!? ナンパ!?

「…………あっそ。」

「………」

そ、それで納得するんだ…

「さーてと…とりあえず、名前聞いてもいい? 俺らのことは、もう知ってるみたいだし。」

「あ、あの…」

なんで俺なんかをここに…?

「そんなに警戒すんなって。 別に捕って食ったりしないからさ。」

名前…でも、どうして俺の名前を知りたがるんだ?

「………金本…遼馬です。」

少しの間迷った結果…

どうせあのカメラマンさんに聞けばわかることだし…と思い、自分の名前を口にした。

「遼馬君ね。 RENとは仲悪いの? あいつが初めて現場に連れて来た子だから、仲いいのかと思ってたけど。」

「いえ…その…」

仲がいいわけではない。
これは断言できる。

「ちょ、ちょっと変わった形で知り合って…自分があの人の身の回りのお世話をすることになってしまったので、ご一緒させてもらっただけです。」

「変わった形?」

さすがに、知り合った経緯は話せないよな…

「その…い、いろいろあって…」

「………そっか。」

話したくないのを察してくれたのか、剛さんはそれ以上はなにも聞いてこなかった。

「で、さっきはどうしたの? 喧嘩してたみたいだったけど。」

「………いえ…あれは…」

人の予定を無視して振り回すあいつが頭にきて…

「あいつは、君がへそ曲げてるだけだ。って言ってたけど、違うんでしょ?」

「え?」

違うって…

「だってさ、へそ曲げてるだけなら、そんな顔しないでしょ。」

そんな…顔…?

「今にも泣きそうな顔してる。」

「……ぇっ?」

俺が…今にも泣きそうな顔を…?

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