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アイドル様の、ホントのお顔

第3章 ~REN~

「あぁ…大丈夫…」

「本当か?」

隆の言葉に頷いてみせても、隆の顔から不安そうな表情は消えなかった。

「あぁ。 学年主任がうるさかったけど、西島先生と校長が庇ってくれた。」

「校長が?」

校長が庇ってくれたということが意外だったのだろう。

隆も綾も目を丸くした。

「気が弱いことで有名な校長が、あの口うるさい学年主任を黙らせたのか?」

「そうだ。 俺も驚いた。」

絶対、校長は学年主任の言いなりになると思っていた。

まさか、俺を庇ってくれるなんて…

「……俺、ちょっと校長見直したわ。」

「あぁ…俺もだ。」

でも…どうして俺を庇ってくれたんだ?
俺が雑誌に載ったことを学校の宣伝に利用するつもりなのか…?

「…………」

いや、その可能性はほぼありえないだろう。

さっきも言ったけど、うちの学校は無駄に校則が厳しいし…
絶対に、そんな方法で学校の宣伝なんてしない。

「なあ、遼…」

「!!」

隆が何かを言いかけた時、ポケットの中で携帯が振動した。

「悪い、ちょっと待って。」

「あぁ。」

まあ、嫌な予感しかしないんだけど…

「はぁ…」

やっぱり、あいつからだよな。

「どうした? 出なくていいのか?」

「…………あぁ。」

今あいつの電話を取ったら、綾が発狂するだろうし。

「後でかけ直すから大丈夫。」

呼び出しが切れるのを待ち、あいつにメールを打つ。

『今電話に出られないから。 何か用か?』

メールを送信すると、すぐに返信が返ってきた。

『今日の晩飯なに?』

は? それだけかよ。
それだけのために電話してきたのか?

『魚。』

送信。

「ごめん、お待たせ。」

「あぁ。 大丈夫なのか?」

隆の言葉に頷き、携帯をしまった。

もう、連絡来ないだろ…

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